中野裕子
平成8年(1996年)東南アジア語学科(インドネシア語専攻)語学科卒業
危ういままの就職活動
96年卒の私が就職活動をしていたのは、バブルが弾けてその影響 が雇用にも出始めた頃です。危機感はあったものの、当時の私は「何のために働くか」「自分の方向性は何か」を検討する方法を知りませんでした。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」といいますが、「己」も全然見えない状態のまま、流通企業に入社することになります。
サターン・リターンのど真ん中
新入社員時代にお世話になった会社では、保険コールセンターのスーパーバイザーをしていました。顧客の声を大切にすることを徹底した会社でしたが、私がそれに気づいたのは、転職して他の社風を体感した後のことです。在籍時から所属する組織の良い面とつき合うことができたら(腹が立つ面とだけでなく・・・)、それは幸せなことだと思います。
余談ですが、この間のべ2、3万件の電話・書類対応をしました。そのためか電話の第一声や、書類の感じからカンが働くようになりました。きっちり数をこなすと、予知につながります!
そこから、外資系証券会社の企業調査の仕事に転職しましたが、作業に慣れてきた頃に「自分の仕事の意義が全くわからない」という大きな壁にぶつかることになります。就職活動時代に放置してしまった「何のために働くか」「自分の方向性は何か」が再来したというわけです。
当時私は28歳。27-29歳頃というのは人生の壁に突き当たることが多い時期だそうで、その迷いの時期を、土星の公転周期が29年であることから「サターン・リターン」と呼ぶのだそうです。まさにその通りという展開でした。
結局、ずっとやってきたことへ回帰
じたばたしていた頃、ある先輩から「もっと長期的な視点か らアドバイスをするような仕事が向いているように思うよ」と助言をいただきました。彼女の言葉がきっかけとなって、コーチングに関心を持つようになりました。
コーチングとは、ひと言で言うと「より良い選択肢を、腑に落ちるまで一緒に探す会話のナビ役」です。勉強を始めてみると、このナビ役は何故だか心躍ります。私にとって「いい保険のかけ方」や「買いの企業はどれ?」では味わったことのないタイプの愉しさで、子どもの頃から無意識にやってきたことの延長線だと気づきました。「何のために働くか」「自分の方向性は何か」などの「己」のヒントは、こういう所に隠れていることが多いのでしょう。
「エンプロイアビリティを高めたい」という意図で入社した会社でしたが、思いがけず「無意識にずっとやってきたこと」に回帰してしまい、愉しさが高じてフリーランスのコーチの道を選ぶことになりました。
「急がば回れ」は本当かも
コーチングを仕事にしていく道も、回り道ばかりしています。回り道を嫌がったために、もうひとつ回り道が増えたことも多々あります。
今も焦りが立ちのぼってくる時など「回り道が来たら、いさぎよく機嫌よく回り道を歩く。ついでに景色ぐらい見ておく」と呪文のように自分に言い聞かせています。行くべきところに行くには、結局はこれが一番早道のようです。自分の経験からも、顧客の方々からうかがったお話からもそう確信しています。
----(略歴)-----
徳島県板野郡出身。徳島県立城北高等学校卒業。1996年東京外国語大学東南アジア語学科(インドネシア語専攻)卒業。生活共同組合コープとうきょうで保険業務、HSBC証券会社で企業リサーチ業務を担当。コミュニケーションの重要性を痛感し、複数のスキルと枠組を学ぶ。現在、抽象と具体を自在に往復するプライベート・コーチングを提供する。社内改革・海外勤務などから、複数の視点を持つクライアントが多い。
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