斎藤 勉
昭和39年(1964年)イタリア語科卒業
はじめに
我が国の経済成長は戦後貿易が牽引してきたがその 担い手 として商社が中心的役割を果たしてきたことは論を俟たない。
その商社が東外大出身者の国際性を期待し海外の販売の即戦力として重用してきた。
しかし、筆者はなぜか入社後2005年に退職するまで4~5年経理業務を担当したが35年余一貫して財務を担当してきた。(本人:前列中央)
商社の財務業務
―仲介業者(後に投資事業の比重が高まる)である商社 にとって金融は重要な機能
―取引高、10兆円超、有利子負債3兆5000億円と膨大な資金、為替を管理する広範な業務である
―具体的には資金調達構造の多様化(直接、間接)、調達先の拡大(国内外の銀行、証券、生保、政府系機関)、利息収支改善、為替取引、資金運用
―リスクは流動性(いわゆる資金繰り)為替変動、金利、価格変動など、舵取りを間違えると厖大な損失を蒙る
―業務は縦割り担当となっているが、筆者は広範な業務を担当した
―勤務地は東京、ニューヨーク(5年)、ロンドン(4年)関係会社(10年)
―ブラックマンデー 1987年10月、ロンドン勤務 時代に株 式、債券運用を担当。史上最大の株式暴落(1日で500ドル下落)に遭遇少なからぬ影響を蒙った
―日本の株式市場バブル時(現在の水準の約5倍近い高騰、日経平均38千円超)、中断してた資本市場調達(株式時価発行1億株、転換社債1,000億円発行)を1990年初頭に再開し現場の責任者となった
―日本の株式市場のバブル崩壊後(1990年)中小企業金融を手がける関係会社に出向し、未経験の不良債権処理にあたった。反社会勢力からの回収、貸し金訴訟などを複数抱え裁判所にも出頭前面にたって苦労した
伝えたい教訓
社会と個人が乖離していないか。即ち企業が求める人材とは「決断力」「行動力」「主体性」「実践力」。
東外大生が陥りやすいのはスペシャリストになるがゼネラリストになりずらい
実践して欲しいこと
常に第一人称で考える癖をつける。
政治、経済、社会その他について人の意見に左右されず「自分ならどうする」という意見をしっかりもつこと。そのためには「過信しては いけないが。裏付けをもった自信を身につける」最近特に問題になる「対人関係が重荷になる」という現象は反駁できない自分に原因がある
基礎的な実践力を身につける。
具体的には金融、為替、法務、総務、経理、人事の知識。企業の財務諸表が理解できる程度の知識は必至、知識に裏付けられた自信がつけば海外での未経験の事業に挑戦する力が付く
----(略歴)-----
1964年イタリア科卒。三井物産入社、財務部。営業経理部などに配属。
1975年米国、1984年英国赴任。1992年金融子会社 2005年退職 (2012年6月現在)
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